○東山梨消防本部危険物施設等違反処理規程
令和4年12月13日
訓令甲第4号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 違反処理
第1節 通則(第3条―第7条)
第2節 違反の調査及び報告(第8条―第12条)
第3節 警告及び命令(第13条―第19条)
第4節 聴聞及び弁明の機会の付与(第20条―第22条)
第5節 認定・承認の取消し(第23条・第24条)
第6節 告発(第25条・第26条)
第7節 代執行(第27条)
第8節 資料提出、報告徴収及び収去(第28条・第29条)
第9節 免状返納要請に係る報告(第30条・第31条)
第10節 送達(第32条)
第11節 違反処理の管理及び報告・通知(第33条・第34条)
第12節 流出等の事故原因調査(第35条)
第3章 雑則(第36条―第38条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、別に定めるもののほか、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第3章、危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号。以下「危政令」という。)及び危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号。以下「危省令」という。)並びに東山梨行政事務組合危険物の規制に関する規則(令和4年東山梨行政事務組合規則第4号。以下「危規則」という。)に定める危険物の規制に関する規定違反(火災等の危険を生じ、又は生じるおそれのある状態又は行為を含む。以下「違反」という。)の処理について必要な事項を定めるものとする。
(用語の意義)
第2条 この規程における用語の意義は、次項に定めるもののほか、法、危政令及び危省令並びに東山梨消防本部予防規程(令和3年東山梨行政事務組合訓令甲第1号。以下「予防規程」という。)及び東山梨消防本部火災予防査察に関する規程(令和3年東山梨行政事務組合訓令甲第2号。以下「査察規程」という。)の例による。
(1) 製造所等 法第11条第1項の許可を受けた製造所、貯蔵所又は取扱所をいう。
(2) 警告 違反について、危険物施設等の所有者、管理者又は占有者(以下これらを「設置者等」という。)に対し、違反の是正又は火災危険等の排除を促し、これに従わない場合、命令、告発等の法的措置をもって対処することの意思表示をいう。
(3) 聴聞 不利益処分(行政手続法(平成5年法律第88号。以下「行手法」という。)第2条第4号に規定する不利益処分をいう。以下同じ。)をしようとする場合に、行手法第13条第1項第1号の規定により行う意見陳述のための手続きであって、定められた期日において不利益処分の名あて人となるべき者が意見を述べ、陳述書及び証拠書類等を提出し、質問を発する等により審理を行い、処分を決定することをいう。
(4) 弁明の機会の付与 不利益処分をしようとする場合に、行手法第13条第1項第2号の規定により行う意見陳述のための手続きであって、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、不利益処分の名あて人となるべき者から弁明書及び証拠書類等を提出させて処分を決定することをいう。
(5) 履行期限 警告、命令の違反事項又は代執行の戒告事項の履行までに要する社会通念上及び火災予防上の見地から妥当な期間として措置権者が定めたものをいう。
(6) 命令 法の命令規定に基づき、公権力の行使として設置者等に対し、具体的な火災危険等の排除及び違反の是正について義務を課す意思表示をいう。
(7) 公示 危険物施設等に違反があり、市町村長等によって措置命令が発せられた場合において、履行される前の状態にあることを周知することで、当該危険物施設等の利用者又は近隣の消防対象物の関係者等の第三者が、不測の損害を被ることを防ぐために必要な措置を講じることが可能になるようにするものをいう。
(8) 催告 命令違反者に対し、当該命令事項の履行を督促する意思表示をいう。
(9) 許可の取消し 法第12条の2第1項の規定により製造所等の許可の効力を将来に向かって失わせる意思表示をいう。
(11) 告発 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定により捜査機関(警察又は検察)に対し、犯罪事実(消防法令違反)を申告して、処罰を求める意思表示をいう。
(12) 代執行 法令又は行政処分に基づく作為義務のうち、他人が代わって行うことのできる作為義務を義務者が履行しない、履行の遅滞又は履行の見込みがないときに、不履行の状態を放置することが著しく公益に反すると認められ、かつ、他人が代わって履行する以外にその履行を実現することが困難である場合に、行政代執行法(昭和23年法律第43号。以下「代執行法」という。)第2条の規定により行政庁自ら又は第三者が義務者の履行すべき行為を行い、これに要した費用を義務者から徴収することをいう。
(13) 免状返納要請 法又は法に基づく命令の規定に違反していると認められる危険物取扱者の免状返納命令に係る知事への報告及び当該危険物取扱者に対する通知を行うための一連の措置をいう。
(14) 実況見分 違反事実の確認及び証拠保全のため、査察員が違反現場に出向し、直接違反の状態又は物の存在を確認し、調査することをいう。
(15) 実況見分調書 実況見分の経過及び確認した結果を客観的に記載した文書のことをいう。
(16) 質問調書 命令執行上重要な証拠となると認める場合又は告発を行う場合、違反者を特定し、違反事実又は情状等を明らかにする必要があるため、査察員の質問に対して違反者又はその関係のある者が供述した内容を録取した文書のことをいう。
第2章 違反処理
第1節 通則
(違反処理の区分)
第3条 違反処理は、次に掲げる区分によるものとする。
(1) 警告
(2) 命令
(3) 許可の取消し
(4) 告発
(5) 代執行
(違反処理の執行区分)
第5条 消防長が行う違反処理は、第3条に掲げる区分とする。
(違反処理上の基本的留意事項)
第6条 違反処理は、次の各号に掲げる事項に留意して行うものとする。
(1) 違反処理は、違反の内容又は火災危険の重大性に着目し、時機を失することなく厳正、かつ、公平に行うものとする。
(2) 違反処理を行うにあたっては、関係者等に対し誠実、かつ、沈着冷静に対処するものとする。
(3) 違反処理を行う場合は、緊急の場合を除きあらかじめ関係者等に違反の内容を具体的に説明するものとする。
(4) 違反処理を行った事案については、第10条の規定による履行状況確認調査を行い、その是正促進に努めるものとする。
(違反処理の基準)
第7条 違反処理は、別に定める基準(以下「違反処理基準」という。)により処理するものとする。
2 違反の事実が明白で、かつ、火災予防上若しくは、人命安全上猶予できないと認める場合又は特異な違反事案の処理に係る場合は、違反処理基準に定める措置順序によらないことができるものとする。
第2節 違反の調査及び報告
(違反調査の方法)
第8条 違反調査の方法は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 実況見分調書の作成
(2) 写真資料の作成
(3) 物証・書証の収集
(4) 質問調書の作成
(違反調査及び報告)
第9条 消防吏員は、職務の執行に際し違反を発見し、又は聞知した場合、速やかに消防長に報告するものとする。
5 違反の調査のため、関係者等の来庁を書面で要請する場合は、査察規程第26条第3項及び第4項を準用するものとする。
(履行状況確認調査)
第10条 査察員は、違反処理を行った危険物施設等の履行を確保するため、適宜、履行状況確認調査を行うものとする。
2 前項の調査を行った査察員は、調査した結果を別に定める違反処理等の経過に記録するものとする。
(警告・命令のための違反調査)
第11条 警告・命令のための違反調査は、違反事実、違反者の氏名、違反発生場所、危険物施設等の位置、構造及び設備、危険物の貯蔵及び取り扱いの状況等(以下これらを「構成要件該当性」という。)について確認し、違反の全容を解明し、違反事実を特定することを目的に行うための調査であり、その方法は別に定めるものとする。
(告発のための違反調査)
第12条 告発のための違反調査は、構成要件該当性、違法性及び有責性について特定することを目的に行うための調査であり、その方法は別に定めるものとする。
第3節 警告及び命令
(1) 違反の是正を指示したにもかかわらず、具体的な改善意思が認められない場合
(2) 権原を有する者から提出された改善(計画)報告書(予防規程様式第16号及び予防規程様式第16号の2)に記載された改善計画年月日を経過したにもかかわらず、違反の是正が図られない場合
(3) 違反の内容及び実態から、火災予防上又は人命安全上必要と認める場合
(緊急時の命令)
第15条 消防吏員は、違反事実が火災予防等の観点から猶予できないと認める場合又は火災等が発生したならば人命安全上猶予できないと認める場合で、緊急に必要な措置をとらなければならないときは、管理者の命により設置者等に必要な事項を口頭により命令するものとする。
3 口頭で命令する場合であって、教示を求められたときは、別に定める方法により行うものとする。
(解任命令)
第16条 法第13条の24第1項の規定による命令は、危険物保安統括管理者・危険物保安監督者解任命令書(様式第11号)を交付することにより行うものとする。
(命令の公示)
第17条 管理者は、法第11条の5第4項の規定により、次の各号に掲げる命令を行った場合、当該各号の命令に係る危険物施設等に標識(危規則様式第43号)を設置し、危省令第7条の5及び危規則第27条第2項の規定により速やかに公示し、当該命令が履行又は解除されるまでの間その状態を維持するものとする。ただし、別に定める場合は、その全部又は一部を省略することができるものとする。
(1) 法第11条の5第1項又は第2項
(2) 法第12条第2項
(3) 法第12条の2第1項又は第2項
(4) 法第12条の3第1項
(5) 法第13条の24第1項
(6) 法第14条の2第3項
(7) 法第16条の3第3項又は第4項
(8) 法第16条の6第1項
(催告)
第18条 管理者は、命令を行ったもののうち、履行期限を経過したにもかかわらず、是正されない場合において必要と認めるときは催告書(様式第12号)を交付し、履行の促進を図るものとする。
(命令の解除)
第19条 管理者は、命令を解除する必要があると認める場合、速やかに、危険物製造所等命令解除通知書(様式第13号)を交付することにより行うものとする。
第4節 聴聞及び弁明の機会の付与
(聴聞及び弁明の機会の付与)
第20条 別表に定める聴聞又は弁明の機会の付与が必要な不利益処分については、行手法、東山梨行政事務組合行政手続条例(平成30年東山梨行政事務組合条例第3号。以下「行手条例」という。)に基づく聴聞又は弁明の機会の付与の手続きをとるものとする。
(聴聞)
第21条 管理者は、法第12条の2第1項に規定する製造所等の許可の取消し又は法第13条の24第1項に規定する危険物保安統括管理者若しくは危険物保安監督者の解任命令を行おうとする場合、行手条例第13条第1項第1号に規定する聴聞の手続きをとるものとする。
4 その他聴聞について必要な事項は、別に定めるものとする。
(弁明の機会の付与)
第22条 管理者は、法第12条の2第1項若しくは第2項に規定する製造所等の使用停止命令又は法第14条の2第3項に規定する予防規程の変更命令を行おうとする場合、行手条例第13条第1項第2号に規定する弁明の機会の付与の手続きをとるものとする。ただし、公益上、緊急に不利益処分をする必要がある場合を除く。
2 その他弁明の機会の付与について必要な事項は、別に定めるものとする。
第5節 認定・承認の取消し
(許可の取消し)
第23条 法第12条の2第1項に規定する許可の取消しは、危険物製造所等許可取消通知書(危規則様式第6号)を当該許可を受けた者に交付することにより行うものとする。
第6節 告発
(告発)
第25条 告発は、次の各号のいずれかに該当し、かつ、別に定める基準(以下「告発基準」という。)に該当するもので、必要と認める場合に行うものとする。
(1) 違反内容が重大、かつ、出火危険、延焼拡大危険、火災等に係る人命危険、その他公共危険が著しく大きいと認める場合
(2) 違反に起因して火災等が発生し、若しくは拡大し、又は人身事故が発生した場合
(3) その他告発をもって措置すべき必要があると認める場合
(告発の事前協議)
第26条 消防長は、告発基準の違反事項に該当する違反があった場合、事前に協議し、その結果を管理者に報告するものとする。
第7節 代執行
(代執行)
第27条 管理者は、次のいずれかに該当する場合において、その他の方法によっては、その履行を確保することが困難であり、かつ、その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、代執行法の規定するところにより代執行を行うものとする。
(1) 命令した事項を履行しないとき。
(2) 命令した事項を履行しても十分でないとき。
(3) 命令した事項に履行期限が付されている場合において、履行しても当該期限までに完了する見込みがないとき。
2 前項の定めにより代執行を行う場合は、事前の執行に伴う作業、警戒及び経費等の計画を策定するものとする。
3 代執行の戒告、通知及び費用徴収のための文書並びに執行責任者の証票は次のとおりとする。
(1) 戒告書(様式第15号)
(2) 代執行令書(様式第16号)
(3) 代執行費用納付命令書(様式第17号)
(4) 代執行執行責任者証(様式第18号)
第8節 資料提出、報告徴収及び収去
(収去)
第29条 違反処理のため法第16条の5第1項の規定により危険物又は危険物であることの疑いのある物を収去する場合は、査察規程第29条を準用するものとする。
第9節 免状返納要請に係る報告
(危険物取扱者の違反行為に対する措置)
第30条 消防吏員は、危険物取扱者が法又は法に基づく命令の規定に違反していることを覚知した場合、その旨を予防課長に別に定める違反行為覚知報告書により報告するものとする。
2 前項の報告を受けた予防課長は、別に定める危険物取扱者違反報告書により管理者に報告するものとする。
(免状返納命令等の通知)
第31条 管理者は、前条第3項の定めにより山梨県知事に報告を行った場合において、山梨県知事から当該報告による免状返納命令に係る結果の通知があったときは、別に定める違反処理等の経過に記録するものとする。
第10節 送達
(送達)
第32条 警告書、命令書、許可取消通知書、承認取消通知書、戒告書、代執行令書、代執行費用納付命令書又は違反事項通知書(以下この条において「警告書等」という。)を交付するときは、査察規程第26条第3項及び第4項を準用するものとする。
2 警告書等の交付に際し、名あて人の住所等が不明で発送することができない場合は、公示送達の方法により行うものとする。
第11節 違反処理の管理及び報告・通知
(違反処理結果の管理)
第33条 消防長は、違反処理を行った場合、別に定める違反処理等の経過に記録するものとする。
(報告)
第34条 査察員は、違反が是正された場合、別に定める違反是正報告書により予防課長に報告するものとする。
第12節 流出等の事故原因調査
(危険物流出等の事故原因調査)
第35条 消防長は、法第16条の3の2第1項の規定により管轄区域内の製造所等で、危険物の流出その他の事故(火災を除く。)により、火災の発生のおそれのある事故が発生した場合、査察員に調査を行わせるものとする。
第3章 雑則
(違反処理に関する事務等に係る照会)
第36条 予防課長は、民事訴訟法(平成8年法律第109号)、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)及び弁護士法(昭和24年法律第205号)の規定に基づき官公署又は弁護士会から違反処理に関する事務等について照会を受け、これに回答するときは、あらかじめ回答事項に照会書を添えて消防長と協議するものとする。
(関係機関との連携等)
第37条 法第35条の13の規定に基づく関係のある官公署への照会又は協力要請については、査察規程第35条を準用するほか、別に定めるものとする。
(委任)
第38条 この規程の施行に関し必要な事項は、要綱で定めるものとする。
附則
(施行期日)
1 この規程は、令和5年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この規程の施行の日の前日までに、改正前の東山梨消防本部火災予防違反処理規程(平成4年東山梨消防組合訓令甲第1号)によりなされた処分、手続その他の行為は、それぞれこの規程の相当規定によりなされたものとみなす。
別表 聴聞及び弁明の機会の付与が必要な不利益処分(第20条関係)